他人の先行登録商標と類似する商標が出願されたとき、米国、中国、台湾等の主要国では、法律や審査基準等で導入されている「コンセント制度」を利用して、商標登録を目指すことが可能です。
これに対し、2024年3月末までの日本ではコンセント制度導入が見送られており、「アサインバック」という、一時的に移転登録をして先願登録商標と出願人の名義を一致させる手法が、代わりに利用されていました。アサインバックによる権利化では、交渉や手続き・費用負担が大きい等のデメリットがありました。
2024年4月1日の改正商標法により、いよいよ日本でもコンセント制度を利用した商標の権利化が可能になります。コンセント制度の利用は、「出願日」が改正法施行日以降の商標登録出願について、利用可能になります。
※特許庁HP「コンセント制度の導入」
今回の法改正で導入されるコンセント制度は、米国、中国、台湾等で採用されている制度と同じく、いわゆる「留保型」です(※)。先行商標権者の同意があったとしても、なお両商標について「出所混同のおそれがある」と判断される場合には、登録が認められません。
このため、コンセント制度の適用を希望する際、提出書類として「先行登録商標権者の承諾」とともに「両商標の間で混同を生ずるおそれがないことを証明する書類」を提出します。
(※留保型に対する「完全型」のコンセント制度は、先行商標権者の同意があれば、更なる審査を経ずに登録が認められる制度です。)
上記に関する商標審査基準の改訂内容は、以下の特許庁HPで参照できます。
特許庁HP「商標審査基準〔改訂第16版〕について」