明細書は次の項目を以下の順に配列することが好ましいとされている (MPEP601)。
- 発明の名称(Title of the Invention)
- 関連出願の参照(Cross-reference to Related Applications)
- 連邦政府資金による研究開発の記載(Statement regarding federally sponsored research or development)
- 共同研究契約の当事者の名前
- シーケンス・リスト等への参照と、コンパクトディスク等による提出材料の参照による援用(Reference to a “Sequence Listing,” a table, or a computer program listing appendix submitted on a compact disc and an incorporation-by-reference of the material on the compact disc)
- 発明の背景(Background of the Invention)
-発明の分野(Field of the Invention)
-規則1.97および1.98により開示する情報を含む関連技術(Description of Related Art Including Information Disclosed under 37 CFR 1.97 and 37 CFR 1.98) - 発明者または共同発明者による先開示に関する陳述(Statement regarding prior disclosures by the inventor or a joint inventor)
- 発明の簡単な要旨(Brief Summary of the Invention)
- 図面の簡単な説明(Brief Description of the Several Views of the Drawing)
- 発明の詳細な説明(Detailed Description of the Invention)
- クレーム(Claim)
- 要約(Abstract of the Disclosure)
- 図面
- シーケンス・リスト(Sequence Listing)(紙の場合)
① 発明の名称
発明の名称(Title of the Invention)は,その発明の本質を適切に表現していなければならず,明細書の冒頭に記載する。好ましくは2語以上7語以内とし,500字を超えてはならない(MPEP608.01(a))。
② 関連出願の参照
関連出願の参照,またはクロスレファレンス(Cross-reference to Related Applications)は,関連出願の出願番号,出願日および両出願の関係を記載する。例えば,関連出願の参照は,先の米国出願(仮出願,国際出願,継続出願の親出願)があるとき,その出願日等の利益を受けたい場合に記載する。
③ 基礎出願のインコーポレーション・バイ・レファレンス
関連出願の参照に加え、優先権主張の基礎となった出願に対するインコーポレーション・バイ・レファレンス、すなわち参照による援用(incorporation by reference)をすることが好ましい。参照による援用とは,他出願の番号の参照をもってその出願の記載内容を組み込む旨の宣言をいう。もし,米国の明細書に誤訳があっても,基礎となった出願に基づいて補正ができる可能性があるという理由による。
④ 発明の背景
「発明の背景」(Background of the Invention)は,「発明の分野」(Field of the Invention)と「関連技術の説明」(Description of the Related Art Including Information Disclosed Under 37 CFR 1.97 and 1.98)とに分けて記載する。「発明の分野」では,その発明が属する分野を記載する。「関連技術の説明」では,出願人の知っている情報を記載し,関連技術の問題点を記載する(MPEP601)。ただし,関連技術は必要以上に詳しく説明する必要はない。また,情報開示陳述書として開示すべき先行技術をこの欄に記載してもよい。
⑤ 発明の簡単な要旨
「発明の簡単な要旨」(Brief Summary of the Invention)では,発明の本質 (要点)を記載し,発明の目的も記載する(規則1.73)。この「発明の簡潔な要旨」はクレームをそのままコピーしたものであってもよい「発明の簡潔な要旨」には,従来技術との比較を必要以上に記載すべきではない。要は,発明の要旨が簡潔に審査官に理解できるように工夫することが重要である。
⑥ 図面の簡単な説明
「図面の簡単な説明」(Brief Description of the Several Views of the Drawing(s))は,各図面の番号を特定して,各図面ごとに簡単な説明を付ける。「図面の簡単な説明」には,部材の参照番号は入れない。
例:Fig. 1 is a front view of a computer according to one embodiment of the present invention.
⑦ 発明の詳細な説明
「発明の詳細な説明」(Detailed Description of the Invention)には,その技術分野における当業者がその発明を製造し使用できる程度に,発明を完全,明瞭,簡潔かつ正確な用語を用いて記載する(規則1.71(a))。「発明の詳細な説明」では,発明の構造物であれば各部分に番号を付して,図面との対応が分かるようにする。このとき,番号は明細書を通じて先頭から次第に大きくなるように付けていく。また,番号は必ずしも連続している必要はなく,また桁数に制限があるわけではなく,読み手に分かり易いように柔軟に付ける。
⑧ クレーム
クレーム(claim)とは特許権の権利範囲を定めるものである。
⑨ 要約
「要約」(Abstract)は,明細書の技術的な開示の要約をいい,明細書とは別の紙に記述する。要約は150語を超えてはならない(規則1.72(b))。
⑩ 図面
米国特許出願では,図面(drawing(s))についても細かい規則がある。米国特許出願が提出されると,製図者(Draftsman)が図面が規則に適合しているかどうかを点検する。規則に適合していないときは,受理はされるものの方法拒絶(objection)が申し立てられる。 図面は,クレームに記載したすべての特徴を表さなければならない(規則1.83)。図面の中に説明を挿入するとき,その説明が発明の理解に特に必須である場合を除き,例えば矩形のボックスで囲んで記載する。図面は,その図を2/3に縮小してコピーをとったときに,細部が密になりすぎないように十分な大きさに描く(規則1.83(l))。図面に描かれた物体の形状を理解しやすいように,陰影をつけることが推奨されている(規則1.83(m))。参照符号と参照する部分を引き出し線で結ぶ。引き出し線は最短であることが望ましく,引き出し線同士が交差してはならない(規則1.84(q))。模型の提出は特別に必要な場合を除き認められない(規則1.91)。