米国特許出願には、以下の書類が必要である。
- 明細書(specification)
- 図面(drawings)
- 譲渡証兼発明者宣誓書(oath/declaration)
- 委任状(power of attorney)
- 出願データシート(application data sheet)
- 情報開示
① 明細書・図面
明細書(specification)は発明を詳細に記述した書面である。発明の理解に図面(drawing(s))が必要なとき,出願人は図面を提出しなければならない。
② 譲渡証兼発明者宣誓書
発明者宣誓書(inventor’s oath)とは,発明者がオリジナルの発明者である旨を信ずる宣誓書をいう。発明者が出願人となって特許出願をするときは、発明者宣誓書を提出すればよい。発明者が発明を企業に譲渡し、企業が出願人となる場合は、その譲渡証に発明者としての宣誓の陳述を含ませた譲渡証兼発明者宣誓書(combined assignment/declaration)を提出する。
③ 委任状
委任状(power of attorney)とは、出願人が特許実務者(patent practitioner)にその代理人として手続をとることを委任する書面をいう。発明者ではなく、譲受人(例えば、企業の長)が署名することができます。継続出願では、原則として、親出願で提出された委任状のコピーを継続出願の書類として提出すればよい。
④ 出願データシート
出願データシート(application data sheet)は、書誌的事項を記載した書面である。ADSともいう。この書面から米国特許商標庁によって出願の書誌的事項が自動的にデータベースに取り込まれる。優先権の主張は、出願データシートまたは補充出願データシートにおいて行う。具体的には以下の情報をADSに記載する。
- 出願人情報
- 連絡先情報
- 出願情報(発明の名称等)
- 代理人情報
- 国内優先権情報
- 外国優先権情報
- 譲受人情報
⑤ 情報開示陳述書
発明の特許性に関連がある先行技術文献を知っていたら、審査官に情報開示陳述書(Information Disclosure Statement,IDS)によって提出しなければならない。この義務を怠ると、特許を受けても権利行使不能とされるおそれがあるので、要注意である。通常は、そのような先行技術文献を知っているはずですので、必ず提出する。
⑥ 優先権の主張
優先権の主張は、出願データシートまたは補充出願データシートにおいて行う。優先権の主張は,先の出願の番号,国,出願の日付を出願データシートに記入するか、または補充出願データシートに記入して後から提出する(規則1.55(a)(1))。外国出願に基づく優先権の主張をした場合は、その外国出願の認証されたコピーを実際の出願日から4ヶ月または優先日から16ヶ月以内に提出しなければならないとされているが(規則1.55(a)(2))、日本に関しては、認証されたコピーの提出も電子的交換の許可届の提出も不要となった。
⑦ 所有権の主張
発明の譲受人が出願人となった場合、所有権の書面による証拠(documentary evidence of ownership)を特許料の支払い日よりも前に庁に提出し、登録しなければならない。譲渡証と発明者による宣誓書等を組み合わせたものを提出することができる(115条(e))。このような、譲渡証兼発明者宣誓書(combined assignment/declaration)を用いるとよい。
⑧ 小規模団体の主張
小規模団体(small entity)または極小団体(micro entity)であれば,料金が減額される。小規模団体とは,個人,小企業,非営利団体をいう(規則1.27(a))。小企業とは,関連会社も含めて,従業員が500人未満の企業であって,発明に関する権利を小規模団体以外の他者に譲渡・移転・実施許諾しておらず,かつそのような義務を負わないものをいう。極小団体とは、小規模団体に該当し、さらに、4以上の過去の特許出願(外国出願、仮出願、国内手数料が支払われなかった国際出願を除く)において発明者として記名されておらず、平均家計所得の3倍以上の所得を受け取っておらず、平均家計所得の3倍以上の所得を受け取っている団体にライセンスまたはその他の所有権を譲渡等していないものをいう。