① クレームの種類
クレームには,装置(apparatus),方法(method),生産物(manufacture),組成物(composition of matter)を記載することができる(101条)。
② クレームの書式
クレームは明細書の最後に,「I claim.」,「What is claimed is:」または「CLAIMS:」等の語句に続けて記載する。クレームは,基本的に「前提部+移行部(comprising)+各構成要素の列挙」という形式をとる。装置クレームは,原則として構成要素を列挙する形式をとる。
An apparatus comprising:
A;
B connected to said A; and
C connected to said A.
また、構成要素の列挙した後に、wherein節をつなげて構成要素をさらに説明することもできる。例えば、以下のようなクレームも認められる。wherein節には、構成要素のさらに詳細な説明を追記したりするために使われる。また、構成要素を修飾するフレーズが長い場合に、最初に構成要素を列挙しておき、構成要素間の複雑な関係をwherein節にまとめて記載することもできる。
An apparatus comprising:
A;
B connected to said A; and
C connected to said A,
wherein the B is D.
③ 従属クレーム
従属クレームとは,先に記載したクレームを引用して,さらに限定を付加したクレームをいう。装置の従属クレームの典型例を以下に示す。
An apparatus according to claim 1, further comprising E.
An apparatus according to claim 1, wherein A is F.
④ 方法のクレームのサンプル
例えば,物質Cの調製方法について,方法クレームを作成すれば次のようになる。
A method for preparing C comprising the steps of:
heating A; and
reacting said heated A with B to produce C.
⑤ クレームの個数
米国特許法では,クレームの数が20個以下であれば,追加手数料はかからない。20個を超えたときは,超過した各クレームにつき追加手数料を支払わなければならない。また、独立クレームの数が3以下であれば追加手数料はかからない。多数項従属クレームは追加手数料がかかる。多数項従属クレームとは,例えば,An apparatus according to one of claims 2, 3, and 4, further comprising D.というものをいう。したがって、クレームが20個以下で、独立クレームが3以下で、多数項従属クレームを使わないとき、費用がもっとも安くなる。
⑥ 二重マルチ従属の禁止
多数項従属クレームに従属する多数項従属クレームは拒絶される(112条(e))。ところで,わが国の特許法では上記従属関係は特に禁じられていないため,多くの日本出願が問題となる従属関係を含んでいる。したがって,日本出願に基づいて米国特許出願をするときは,特に従属関係を慎重に点検し,問題を解消すべきである。
⑦ 移行部
クレームの前文と構成要素の列挙部をつなげる移行部には「comprising(……からなる)」を使う。一方,「consisting of(……だけからなる)」は使わない方が好ましい。「comprising」は,列挙された構成要素以外の要素を除外しないこれに対して,「consisting of」は列挙された構成要素だけを含むことを意味する
⑧ 構成要素ごとに改行し,字下げをする
クレームは構成要素を列挙する形式をとるが,各構成要素ごとに改行し,できれば字下げをすることが望ましい。
⑨ 冠詞の用法
クレームでは,ある構成要素が最初に出てきたときには「a」を付け,2回目以降は「said」または「the」(日本語でいえば「前記」)をつける。このルールに違反していると,審査官は「先行詞がない」旨の拒絶理由を通知してくる。
⑩ 個数の非限定
クレームで構成要素を列挙するとき,特に必要がなければその個数は限定しない方がよい。また,「a」または「an」を構成要素に付した場合でも,単数に限定する意図ではない旨が了解されている。発明の性質上,その構成要素が複数必要であるときは,「a plurality of(複数の)」を付ける。
⑪ 数値限定とabout等
数値範囲を限定する場合は,about(約),substantially(大体), approximately(ほぼ)などの語を付加してもよい時期もあったようだが,現在ではabout等を使わないほうがよいという傾向にある。
⑫ means/step
ミーンズ・プラス・ファンクション・クレームと解釈されないようにしたいのであれば,発明を機能ではなく構造により発明を特定し,means forという用語は使わないようにする。ステップ・プラス・ファンクション・クレームを避けたいのであれば、英訳するときにstepという用語を使わないようにする。
⑱ プログラム・クレームは不可
米国ではコンピュータプログラム(computer program)を対象としたクレームは米国では法定の主題には含まれず、また、信号キャリアを含むコンピュータによって読取可能な記録媒体(a computer readable storage medium)も法定の主題から除外されている(Interim Examination Instructions for Evaluating Subject Matter Eligibility under 35 U.S.C. 101)。全般的な傾向として、コンピュータプログラムプロダクト(computer program product)は特許を受けられる可能性が高い。記録媒体は、中間的な信号状態を含まないことを明確にすれば、法定の主題として認められる可能性が高まる。例えばtangible computer readable storage medium、a program storage device readable by machineのように有形物であることを強調すれば法定の主題として認められる可能性が高まる。