① 国際出願の提出
日本の国民および居住者は日本国特許庁に対して国際出願をすることができます。国際出願は日本語(英語も可)で作成することができます。日本企業にとっては,日本語で出願書類を作成することができ,また日本国特許庁に書類を提出すればよいので,手続が簡易となります。
② 国際調査
日本国特許庁が国際出願を受理すると,原則として日本国特許庁が国際調査機関として国際調査を行います。国際調査とは関連ある先行技術の発見を目的とする調査です(PCT 15条)。国際調査機関は発見された先行技術を列挙し、新規性などの特許性についての見解を記載した国際調査報告見解書として出願人に送付してきます。
③ 国際調査見解書への応答
最近の法改正により、一部の外国特許庁が国際調査報告見解書を作成した場合には、これに対して応答する義務がある場合があります。所定の期間内に応答しなければその出願が取り下げられたものとみなされます。応答の義務の詳細は、専門家にアドバイスを受けてください。
④ 国際公開
優先日から18カ月が経過すると,国際事務局は国際出願の国際公開を行います。
⑤ 指定国への移行手続
30カ月以内に各指定国への移行手続をしなければなりません。指定国への移行手続とは,翻訳文の提出,国内手数料の支払い等をいいます。出願人は,国際調査に基づいて,特許取得の可能性,および商品開発や市場戦略からみて権利化が必要な国について,評価し検討することができます。そしてその結果,権利化を図ることに決めた場合には,各指定国への移行手続をとるとよいでしょう。一方,権利取得は不要という結論となったときは,移行手続をしないという決断もあります。
⑥ 国際予備審査
選択肢として、国際予備審査を請求することもできます。国際予備審査とは、国際予備審査機関が国際調査よりも一歩踏み込んだ特許性の判断を行うものです。国際予備審査報告は権威あるものであり,各国の特許庁により尊重されるとされています。したがって,特許性ありとする有利な国際予備審査報告を受け取っていれば,各国への移行手続をした後に,すぐに特許が付与される可能性が高いとされています。
⑦ バイパス継続出願
米国を指定した国際出願を,米国の国内段階に移行するとき,通常のルートとは異なるルートがあります。国際出願に基づく優先権を主張して,継続出願をする方法です。これは,俗に「バイパス継続出願」と呼ばれ,権利化に有利であるという理由で、一部の企業では頻繁に使用されています。