101条は、以下のように規定されている。
<blockquote>新規かつ有用な方法(process),機械(machine),生産物(manufacture),組成物(composition),またはその改良を発明した者は,それらに対して単一の特許を受けることができる。</blockquote>
101条が要求する特許を受けるための要件は,法定の主題,有用性,および二重特許でないことの3つである。
ここでは、二重特許について説明する。
二重特許(double patenting)とは,二以上の特許出願の間で,クレームの主題が同一または自明である場合をいう。二重特許には,同一発明型二重特許(same invention type double patenting)と非法定二重特許(nonstatutory type double patenting)とがある。非法定二重特許の代表的なものが自明型二重特許(obviousness type double patenting)である。
① 適用要件
二重特許は,二以上の係属中の出願の間,または出願と特許との間で発生する。二重特許は再審査において,再審査の対象であるクレームと係属中の出願または発行された特許のクレームとの間でも発生する。二重特許の拒絶は,同一の発明者の場合,同一の譲受人の場合,または同一の発明者/譲受人には該当しないが共同研究契約等の適用を受ける場合に限り,適用される。
② 自明型二重特許
自明型二重特許(obviousness type double patenting)は、非法定二重特許(nonstatutory type double patenting)ともいわれ,法定の規定がなく,判例により形成された法理である。自明型の二重特許とは,二以上の出願間(または出願と特許間)でクレームが同一ではないが,少なくとも一方のクレームが他方のクレームに対して新規ではないか,または非自明性がない場合をいう。自明型の二重特許とされるためには,一方向自明性(one-way obviousness)があれば足りる。一定の場合には,双方向自明性(two-way obviousness)が必要とされる。
③ 同一発明型二重特許
同一発明型二重特許(same invention type double patenting)の拒絶の根拠は,101条である。101条は,「新規かつ有用な方法,機械,生産物,組成物,またはその改良を発明した者は,それらに対して単一の特許を受けることができる」旨を規定している。この規定における「単一の特許」という文言に基づいて,同一の発明が二以上の出願でクレームされている場合は,出願が拒絶される。
④ 対応策
自明性二重特許の拒絶に対しては、出願人は,以下の対応策をとることができる。
<ul>
<li>253条に基づくターミナル・ディスクレーマ(terminal disclaimer)を提出する</li>
<li>一方向自明性(または双方向自明性)がないという主張をする</li>
</ul>
同一発明型二重特許の拒絶に対しては、以下の対応策をとることができる。
<ul>
<li>二重特許が指摘されたクレームを削除または補正する</li>
<li>他方のクレームを文言上侵害することなしに,一方のクレームが文言上侵害されることはない旨の主張をする</li>
<li>一方のクレームに含まれるが,他方のクレームには含まれないという実施例が存在する旨の主張をする</li>
</ul>