1.経緯
欧州単一効特許と統一裁判所の設立への議論は、2009年12月にEU理事会により、大枠で合意された後、様々な問題の隔壁を越え、2012年6月、欧州首脳は、欧州統一特許裁判所に関する協議のうち第一審裁判所の中央部局(central division)の設立地について合意した。欧州理事会は、この合意を「歴史的ブレイクスルー(historical breakthrough)」と発表した。
今回の合意により、中央部局は、パリに、専門部局(機械・工学等)はミュンヘン、専門部局(化学・ライフサイエンス等)は、ロンドンに設置されることなった。
また同年7月には、欧州単一効特許と統一裁判所の設立が長い年月を経て、ブラッセルで開催された欧州理事会にて合意された。
2012年末には、イタリア・スペインを除くEU加盟国であるヨーロッパ25か国により統一特許裁判所に関する合意に署名が行われ、13か国以上の批准の後、発効が決定する。
欧州理事会のウェブサイトによれば、2014年初頭に発効見込みとしていた。
2.その後
欧州特許機構(European Patent Organization)の管理理事会(Administrative Council)の特別委員会(SelectCommittee)は、2013年7月26日、欧州単一効特許の更新手数料の決定等に関する作業スケジュールを公表した。
特別委員会は、単一特許規則第9条(2)の規定に基づき、単一特許の更新手数料の水準及び更新手数料の参加加盟国への配分割合を決定し、単一特許の管理業務を統治・監視するために設置されている。
作業スケジュール
2013年9月~10月:財政及び統計データを提示するワークショップを開催
2013年10月:更新手数料の水準に関する様々なシナリオの提示、単一効特許保護に関する施行規則の議論
2013年12月:単一効特許保護に関する施行規則の採択
2014年3月:更新手数料とその配分割合等に関する規則案の最終版
2014年6月:更新手数料とその配分割合等に関する規則の採択
この作業スケジュールによると、2015年には、統一効特許制度の運用が開始できるよう見込みとされている。