ファースト・オフィスアクション(first office action)とは,原則として一度目の拒絶理由通知をいう。
(1)ファースト・オフィスアクションの概要
クレームされた発明が,法定の主題および二重特許(101条),新規性(102条),非自明性(103条),開示要件または記載要件(112条),新規事項の追加(132条,112条)等の要件を満たしていないとき,審査官は拒絶理由通知を発行する(132条)。
(2)応答期間
出願人は,拒絶理由通知に対して原則として,3カ月以内に応答しなければならない。法定期間(statutory period)は最大で6カ月,最短で30日とされており,審査では原則として短縮法定期間(shortened statutory period)として3カ月が指定される。この期間内に応答しなければ,出願が放棄されたものとして扱われる。ただし,手数料を支払えば,1カ月単位で,最大3カ月まで延長が可能である。延長費用は、1ヶ月目は低額だが、2ヶ月目、3ヶ月目となると、極端な高額となる。詳細は、米国特許庁料金表の「Patent Extension of Time Fees」の項目を見て欲しい。3ヶ月の延長をするのは避けたほうがよい。
(3)応答書類
出願人は、次の書類を提出することができる。
補正書
意見書
規則1.130による宣誓書
規則1.132による宣誓書
オフィスアクションに対して出願人は補正書(amendments)を提出できる。出願人は,明細書の記載によって裏付けられた事項に限り補正をすることができる(132条)。新規事項(new matter)の追加は認められない。補正によって,出願当初は請求していなかった主題を,審査過程でクレームとして追加することができる。これを俗にlate claimingという。
意見書(remarks)では,審査官が発明の特許性について誤解をしている場合はその旨を指摘し,引用例とクレームされた発明との違いを説明し,併せて審査官による拒絶が妥当ではないと述べる。
規則1.130(a)(1)の宣誓書は、拒絶が依拠している開示よりも前にされた、発明者または共同発明者による開示(先の開示)を立証する目的で使用される。規則1.132による宣誓書は,拒絶理由通知に対して,拒絶理由を克服するための事実を提示する手段である(規則1.132,MPEP716)。一般には,非自明性(113条)に関する拒絶理由に対する反論を補強する証拠として提出する。