ファイナル・オフィスアクション(fnal ofice action)とは,原則として二度目の拒絶理由通知をいう。ファイナル・オフィスアクションには,「THIS ACTION IS MADE FINAL」と記されている。ファイナル・オフィスアクションは,最初の拒絶理由通知と異なり,補正に制限が課されている。
(1)ファイナリティ
二度目のオフィスアクションは原則として「最後」となる。例外的に2回目のオフィスアクションが「最後」とならない場合もあるが、それは専門書を参照して欲しい。
オフィスアクションの「最後」が時期尚早であるときは,出願人はその旨を主張することができる。これを受けた審査官は,オフィスアクションのfinalityが妥当であるか検討し,時期尚早であると判断した場合はファイナル・オフィスアクションを撤回する。ただし,審査官にオフィスアクションのfinalityの再考を求めたとしても,応答期間は延長されない。
(2)応答期間
最初のオフィスアクションに対する応答期間と同様である。すなわち,出願人は,ファイナル・オフィスアクションに対して原則として,3カ月(短縮法定期間:shortened statutory period)以内に応答しなければならない。この期間内に許可通知を受け取るかまたは審査継続の手続をしなければ,出願が放棄されたものとして扱われる。ただし,手数料を支払えば,最大3カ月まで延長が可能である。
ファイナル・オフィスアクションの発送日から6カ月という法定期間を超えて,原則として,手続をすることはできない。延長費用は、1ヶ月目は低額だが、2ヶ月目、3ヶ月目となると、極端な高額となる。詳細は、米国特許庁料金表の「Patent Extension of Time Fees」の項目を見て欲しい。3ヶ月の延長をするのは避けたほうがよい。
したがって、この最大6ヶ月という法定期間は不変期間として扱われる。この法定期間内にアロワンスを受け取るか,または自発的にRCE、審判請求,継続出願のいずれかの措置を採らなければ,出願が放棄されたものとして扱われることを意味する。
最後の拒絶理由通知に対しては,できるだけ早期に,できれば最後の拒絶理由通知の発送日から2カ月以内に応答することが好ましい。2ヶ月以内に応答を提出すると、審査官はそれを迅速に考慮し、応答によって拒絶が解消しないとき,アドバイザリアクション(Advisory Action)を出す。こうして出願人はアドバイザリアクションを受け取って,適切な対応をとることができる。したがって、現地代理人は2ヶ月をファイナル・オフィスアクションの応答期限として依頼人に知らせてくる場合もある。
(3)補正書
最後の拒絶理由通知に対する補正(amendments)は以下の条件のものに限定される。
- クレームの削除
- 先の拒絶理由通知で通知された方式的な要件を満たすための補正
- 審判の審理のためにクレームをより良い形式(better form)するための補正
したがって、ファイナル・オフィスアクションに対する補正はかなり限定される。実務的には、クレームの実質的な補正は認められないと考えてよい。具体的には、特許可能と示された従属クレームを独立クレームに組み込む程度の補正しか認められない。もし、補正によって拒絶理由を解消できないと思われるときはRCEを検討すべきである。
(4)意見書,宣誓書
最初の拒絶理由通知に対する応答と同様に,意見書(remarks)の提出,宣誓書の提出が可能である。ただし,宣誓書の提出は制約を受けるので詳細はガイドラインを参照して欲しい。
(5)応答後の審査
最後の拒絶理由通知に対する応答が,その発行日から2カ月以内にされると,審査官は,応答により出願の審査を行い,次のいずれかの決定をする。
- 特許できる状態になったときは,特許査定を発行する。
- 方式的な問題があるが,おおむね特許できる状態になったときは,職権で方式的な問題を補正し,特許査定を発行する。
- 特許できる状態にならなかったときは,アドバイザリ通知を発行する。